【 学生に表現の場を 】福岡学生演劇祭で実行委員を取り仕切る「桑森ケイ」さんに直撃取材してきた

福岡

ゆくゆくは九州規模の大会にしたいと考えています。

九州で頑張る人を応援する「聴くけん!!九州」。

第10回目は、2020年8月15日~16日にかけて開催された福岡学生演劇祭で、実行委員会の会長を担う「桑森ケイさん」にお話を伺いました。

桑森さんにはコロナを受けた上で演劇イベントを開催することの大変さ、逆境にも負けない熱い想いを語って頂きました。

桑森さんはどんな人?

桑森さんは普段、福岡の劇団「ジャカっと雀」を主宰されています。筆者は、桑森さんが他劇団に客演をされた際に、舞台大道具のお手伝いでお会いして以来の知り合いです。

今回、福岡学生演劇祭で実行員を取り纏められている話を聞き、取材を申し出たところ快諾していただきました。

福岡学生演劇は2015年に初めて開催され、毎年夏頃に開かれています。

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【福岡学生演劇祭】
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九州圏内全ての学生のための演劇祭

ーー福岡学生演劇祭について教えてください

毎年夏に全国で学生演劇祭が開催されていて、本演劇祭は福岡版として開催されています。

各地の学生演劇祭としては、北から札幌・東京・名古屋・京都・四国・福岡、の名前がついた演劇祭があります。前はもっとあったんですけど、運営も出場も学生が主体だと中々続かないってのもあって、今はこのくらいの数になっています。

福岡学生演劇祭も基本は学生が運営をして、出場も学生劇団です。出場する劇団の数は例年変わりますけど、福岡は今年は6団体がそれぞれ作品を持ってきます。お客さんと審査員の投票で順位が決まる大会形式です。

優勝したら「全国学生演劇祭」に出場できます。夏に各地の演劇祭をやった後、年度末ごろに開催されるのが全国学生演劇祭で、今年の開催地は北海道です。

ーー劇団は学生団体であればどこでも出場可能なのですか?

そうですね、学生証さえあれば出場可能です。

ちなみに、高校生が出場できるのは福岡学生演劇祭までで、全国学生演劇祭は規定があって出場ができないんですよ。来年からは全国の学生演劇祭でレギュレーションが統一されるので、福岡でも満18歳以上で学生証を持っていると出場できます。

ーー福岡学生演劇祭の特徴やアピールポイントはありますか?

歴史ある「ももちパレス」でやっていることですね。

今年は大きさの関係で、大ホールの舞台上に小さな舞台を作っています。会場自体が舞台と客席の距離が密接なブラックボックスタイプになり、福岡にある他の劇場では味わえない空気感の舞台となりました。

そのおかげで、お客さんが演者の人の息遣いなどを密に感じられるような舞台になりました。

コロナウイルス対策も僕たちだけでは対応しきれない部分もありますが、劇場と連携を取って対策を行なっています。

コロナの影響で今年の参加団体は福岡だけでしたが、募集自体は九州山口を合わせて8県から参加団体を募っていました。

ーー福岡の学生を対象とした演劇祭ではなく、福岡でやる学生のための演劇祭ですか?

そうですね、そういう立ち位置になります。

他の地域の学生演劇祭は四国が距離的に一番近いんですけど、海が挟まってるので(笑)以前は中国地方の学生演劇祭もあったんですけど、一回だけ開催されて消滅しました。こういうイベントは本当に続けるのが難しいんですよ。

福岡は学生を卒業してからも演劇を続けていく人が少ないんですよね。演劇ってやはり難しくて、4年間やっていないと身に付かないスキルとかもあります。大学を出てからも演劇を続ける人が少ないので、熟成したスキルが残り辛く、演劇をやっている学生の面倒を見られる大人も少ないんですよ。

「楽しそうだから」って演劇を始めたけど「なんか違った」と感じる学生さんを減らしたいですね。

学生演劇自体の人口が増えたら良いなと思うし、大学を出てからも演劇を続けていく人も増えて欲しいです。福岡から環境整備をして行くのが目先のビジョンですね。

「出たい」と言ってくれた団体がいたことが励みに

ーー福岡学生演劇祭の運営をしていて周りの人からの反響はありましたか?

「やるんだ」という好意的な声はありました。

8月に開催すると決定したのは6月中旬だったんですけど、ももちパレスさんも信頼があるので「しっかりやるだろう」と周りに抱いてもらっていたのは感じています。ももちパレスさんからも「文化の火を消してはならない」「会場側から学生演劇祭を中止にして貰うことはない」と言葉を直接いただきました。熱い想いを聞いて、より頑張らなきゃって思いましたね。

福岡学生演劇祭は4月と5月にそれぞれ一回ずつ、元々の予定通り参加団体を募集していたんですが、先行きが見えない状況で応募があったのも嬉しかったです。本番があるかないか分からないタイミングで、「出たい」と応募してくれた団体さんがいてくれたのは信頼を感じています。

ーーまだ本番前ですが、福岡学生演劇祭の運営をしていて良かったことはありますか?

出演希望を伝えてくださった6団体が無事に本番を迎えたことですね。

今は明日明後日の本番を迎えた後の「お客様アンケート」も楽しみです。去年は出場団体は3団体だったんですけど、コロナがあるにも関わらず出場団体が増えたのも良かった点です。

ーー出場団体が今年は増えた要因は何だと思われますか?

募集期間中の宣伝を強めにしたことですね。

募集回数や期間を増やして事前の説明会なども行なって、募集要項などもしっかりと定めたりなど、催しに対する周知と信頼を得てもらう点に力を入れました。今年、出場されているのは全て福岡の団体さんなんですけど、県外の方からも問い合わせはいただいていたんです。

県外の団体さんに関しては、2月に「宿泊費の補助等を行なう」通知、出演のハードルを下げる取り組みもしましたが今回は見送りとなりました。

先行きが見えない中で演劇イベントやる辛さ

ーー福岡学生演劇祭の運営をやっていて苦しかったことは何ですか

やはり先が見えなかったことですね。

今年からは運営の体制を変えて、僕も数年に渡ってガッツリと関わって色々変えて行くタイミングで、こんな状況になったので。出場団体さんの中には市営の稽古場じゃなく、学校で稽古しようとしている団体さんもいたんですけど、学校も開くかどうかわかりませんでした。

運営として団体ごとの公平性を確保すれば良いのか、線引きをどこに引けば良いのかっていうのが苦しかったです。ウイルスで劇場が閉まるっていうのは初めてで、「さぁやるぞ!」と意気込んだ年に酷だなと思いました(笑)

今年は学生演劇祭の中でもっとやりたいこともあって、「公開ドラフト会議」的な企画もありました。本番を見にきた方が「うちの劇団の次回公演で使いたい」って決める企画です。

2月くらいには盛り上がるイベントになる予感もあったんですが、来年に向けて今年は色々試そうと思っていた矢先に、こんな状況になってしまいました。本番に懸ける覚悟が例年の比じゃなかったですね。

ーー今年はそんな苦しい状況の中、どうやって乗り越えたのでしょう?

毎年ももちパレスさんと連携が上手く取れていなかったのですが、今年はスタート時点からやり取りを始めました。そのおかげで、自分一人で抱え込まなくなりました。

それ以外では、他の地域で演劇祭を主宰している方たちにアドバイザーになっていただき、月一でオンラインで会議をできるようになりました。他の地域の感染予防への対策や現状を共有できたので、「なるほど」と前向きになれる材料が得られたと思います。

他の地域で同じような取り組みをしている方達の存在は心強いですね。「もう駄目だ」と後ろ向きな気持ちになることはありませんでした。

「努力は自分で報いる物」

ーー桑森さんが「好きな言葉」を教えてください

言葉じゃなく考えなんですけど、「努力は自分で報いる物」ですね。

普段は自分の演劇をやっている中で、コロナのせいで自分の創作活動自体は湧かず結構苦しかったんですよ。学生演劇祭での活動も何かに活かせるかもしれないなと思って。ボーッとしていたら駄目なので、この期間で苦労して得られた物を今後の活動に活かして行きたいと思っています。

ゆくゆくは九州規模の大会に

ーー福岡学生演劇祭を通して期待していることはありますか

九州規模の大会にしたいと考えています。

今はももちパレスさんの自主事業でご協力いただいていますが、熊本や長崎でやる年もあるなど「持ち回り制」になれば良いなと思います。学生演劇祭の参加団体の人たちも九州各地に知り合いができれば、ツアーとかにも利用しやすくなるかなって。

九州中の若手劇団の人たちが、各地に知り合いがいる状態になればすごいですよね。再来年には「九州学生演劇祭」に名前を変えられるよう頑張りたいです。

更には、福岡県外の団体さんに最低でも3団体出てもらえたらと考えています。宿泊費を負担したり説明会で他県に出張に行ったりなど行なって、なんとか出来ないかなと。

でも、結局のところ学生のニーズありきなので。学生さんの演劇欲というか「こういう事もやりたい」など、受け入れて行けたらと思っています。学生さんたちの要望や希望もどんどんレベルアップしたら嬉しいですね。

ーー先ほど演劇を卒業する方も多いと仰っていましたが、今後は横の繋がりだけじゃなく縦の繋がりも増えると良いですね

作品を見合うだけでは交流が生まれないかも知れません。縦の繋がりが途切れずに続いていくための場は、福岡学生演劇祭でも担って行かなければと思っています。

知らない人も「見に行きたいな」と思って貰えるようなイベントに

ーー最後に読者の方へ向けてメッセージをお願いします

世間では、学生演劇はおろか演劇自体に馴染みのない方が、ほとんどなのではないかと思います。

世の中には劇場があって、映画や小説みたいに演劇を発表している人たちがいて、大人だけじゃなく学生もやっています。ゆくゆくは、馴染みのない人たちにも「見に行きたいな」と思ってもらえるようなイベントに成長するよう頑張っていきます。今後にご注目ください!

ーー桑森さんは自分で劇団も主宰されていますが、そちらに関する告知も何かあればお願いします

「ジャカっと雀」は10月上旬に公演を予定しています。

これは結構前からスケジュールを押さえていたんですけど、コロナの影響で当初やろうとしていたことから構想は変わりました。コロナの期間で縁が深まった知り合いの方と自分の劇団で、セッションのような活き活きした表現を出来たら良いなと考えています。

ーー本日はありがとうございました!

【取材後記】演劇を楽しみたい学生のための場は残り続けるだろう

取材後すぐに別の打ち合わせに赴くなど、多忙な中で対応して頂いた桑森さん。

それ以上にバイタリティや演劇に対する熱意を感じさせてくれました。コロナウイルス感染拡大を受け、学生の方達の創作活動の場は狭まっています。

そうした中でも「学生の表現の場を残そう」と強い志を持っている桑森さんが、今後どのようなことをしていくのか、ますます楽しみです。

この場を借りて、取材にご協力頂いた桑森ケイさんに厚く御礼申し上げます。

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この記事はマインドマイスターで構成しました。

この記事を書いた人
江尻圭佑

福岡県北九州市在住のWebライター。執筆業の傍ら、たまに舞台大道具もやるマルチクリエイター。関心の深い領域は心理学やサイエンス、ライフハック系など多岐に渡る。

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