【 福岡屋台のオンリーワン 】新規開業した「博多屋台 中洲十番」は、地産地消にこだわり未来を見据えた屋台だった

福岡

福岡市民に愛される屋台にしたい

九州沖縄で頑張るお店や人を応援している「聴くけん!!九州」

第9回目は、福岡市の新規屋台営業者公募選考に通過して、2017年から「博多屋台 中洲十番」を経営する「田中博臣さん」と、広報の「鶴留悠さん」にお話を伺いました。

中洲十番を始めた理由やこだわり、抱えている課題や屋台の将来像などを、夕暮れの川沿いでじっくり迫ってきました。

野北さんのFaceboo投稿がキッカケ

第1回目に取材した野北さんのFacebook投稿を見て

「とても魅力的な屋台なので取材したいです」

とアプローチしたところ、野北さんから鶴留さんに繋いでくださいました。人と人が繋がりあった取材記事は今回が初めてです。

鶴留さんと野北さんは、以前糸島で開催された「九大サイエンスカフェ」でご縁ができてからのお付き合いが続いているそうです。

2017年の屋台公募を経て中洲十番をオープン

(左)田中博臣さん・(右)鶴留悠さん

代表の田中博臣さんは、1973年福岡市生まれの現在47歳。

花屋など様々な業種を経験した後、中洲屋台「伸龍」さんで約10年間修業。平成29年に開催された福岡市の新規屋台営業者公募選考を通過。同年5月から営業を開始されました。

現在は博多移動飲食業組合の理事も務めており、営業の傍ら福岡の屋台を盛り上げるため積極的に活動されています。

広報担当の鶴留悠さんは、2017年に入店されました。

最初はお客さんとして来店していましたが、スタッフにお知り合いがいたこともあり、2017年GWに入店。「一年のうちで最も忙しい時期に入ったんです」としみじみ話しておられました。

広報として活動する傍ら、外国人向けの日本語教師を務めておられます。お店には外国人観光客も多く来店されるそうで、培った語学力で対応されています。

毎日のルーティンワークを効率化させた

制作を専門業者に依頼する屋台が多い中、中洲十番は全て手作り。

骨組みを軽量化して移動を楽にするだけではなく、設置や後片付けなど毎日のルーティンワークをどれだけ効率化できるか研究されています。スタッフが働きやすい環境作りは、一般企業と全く同じです。

屋台ではあまり見かけない食品サンプルが飾っています。「遠くから見て何が食べられるか分かると、お客様にとって便利」と判断し設置したそうです。

昔の福岡市の地図が飾られています。ちなみに、福岡タワーなどがある百道浜エリアは約40年前に埋め立てられました。

開放感のある店内は、子ども連れでも全く問題ありません。

取材中も子ども連れの家庭が来店されましたが、初めて見る景色を料理に興味津々でした。お子さんの屋台デビューにも最適です。ちなみに、ラーメン類を注文すれば小学生以下のお子さんはラーメン無料です。

店内はロックが流れていました※当日はオアシス。屋台の中は野球中継が定番だった私にとって、ちょっとした衝撃でした。それ以上にスタッフさんの威勢のいい声もBGMです。

福岡ならではのメニューは多言語対応

日本語だけではなく、韓国語や英語、フランス語やスペイン語など様々な言語でメニューが見られます。ちなみに、一覧は2019年6月に開催されたG20(財務大臣・中央銀行総裁会議)に併せて作られたそう。

メニュー表は言語が違っても見比べて注文可能です。食べ物の横には豚や鶏のイラストもあり、宗教上の理由で食べられない方にも配慮しています。

「秘密のケンミンSHOW」など多くのテレビ番組にも登場。番組を観た福岡グルメを堪能したい方がご来店しています。

福岡市や糸島市など「福岡県産」にこだわったメニューも魅力的。メニュー表の後ろに薄っすらと観光ガイドブックが見えるのが粋です。

定番の豚骨ラーメンや焼ラーメンもラインナップ。ラーメンの麺で作る「明麺(明太子パスタ)」「ナカスタン(ナポリタン)」も人気です。調理担当の方に「こんな食べ物欲しい」などリクエストしたら、可能な限り答えていただけるそう。

糸島地ビールやプリップリのもつ鍋は必食!!

糸島の浜地酒造様が販売している杉能舎地ビールも楽しめます。スッキリした飲み口の地ビールは食事にピッタリ。福岡でしか味わえないお酒も魅力的。

地ビールだけではなく、博多百年蔵の「初吉野」や基山商店の「基峰鶴」など日本酒のラインナップも豊富です。

博多和牛にこだわったもつ鍋は、下処理も完璧で臭みは全くありません。口に入れた瞬間に良質な脂が口中に広がって「ニヤッと」笑顔になる美味しさ。スープもスッキリしていて最後まで飲み干せます。

糸島で大事に育てられた「伊都の宝」を使った豚バラ。3本とも味わいが違うので、食べ比べしたい方にオススメです。

締めの豚骨ラーメンを食べた後はスマートに決済

屋台メシを締めるのは定番の「豚骨ラーメン」。飲んだあとにガツンと胃袋に届く濃厚スープ、トッピング寸前に炙るチャーシューが、丼の中でマリアージュします。

屋台の決済は現金のみが主流ですが、中洲十番では「キャッシュレス決済」に対応しています。クレジットカードやデビットカード、電子マネーやポイント払いにも対応。ここまでキャッシュレス決済に対応している屋台は類を見ません。

以前展開していた5%還元にも対応していて、キャッシュレス決済がスタンダードになっている外国人観光客に優しい屋台です。


ちなみに、福岡市民や2回目以降の来店でお会計が10%オフになります。

中洲屋台のエースになりたいと思って命名

引用:公式サイト

──店名の由来を教えていただけますか?

鶴留さん:東京にある「麻布十番」や、サッカーの「10番」などからインスピレーションを受けました。19軒ある中洲屋台のエースになりたい希望も込めたんです。

──スタッフさんは何名いらっしゃるんですか?

鶴留さん:全部で15名です。

アルバイトの中には学生さんもいるので、基本的にシフトは「自己申告制」にしています。テスト期間などで出勤できない時もあるので、無理のないスケジュールで出勤いただいています。

昨年、社員旅行でベトナムへ行ってきました。旅行中も職業柄接客やサービスに自然と目が行ってしまい、「日本負けているよね」と刺激を受けて帰ってきました。

当店は東南アジアからのお客様も多いので、恥ずかしくないような対応を心がけています。

田中さん:シフトや待遇などできることはやっていますが、反面にある程度の責任も求めています。決めた出勤は守る・急な休みは早めに連絡するなど、社会人として当たり前のことは守って欲しいです。

そうは言っても、みんな真面目でちゃんと守ってくれていますよ。

興味を持ってくれたメディアには幅広く対応している

引用:公式サイト・取材依頼などはお問い合わせから

──取材を受けようと思ったキッカケは何ですか?

田中さん:国内外問わず、どんなメディアでも当店に興味を持っていただいたらお応えしています。

FacebookやTwitterなどSNSでご紹介いただくこともありますね。「投稿を見て来店しました」「屋台に行くキッカケになりました」など、反応もそれなりにいただけるようになったのも嬉しい限りです。

自分の考えをぶつけてみたかったから公募に参加した

引用:公式サイト

──取組みをやり始めた理由は何ですか?

田中さん:中洲十番を始める前、別の屋台で約10年に渡り店長をやりました。

その中で「もっとこうしたほうがいいのでは?」と思う日々が続きました。しかし、当時は雇われ店長だったので、想いをぶつけらず悶々としていたんです。「本当にこのままでいいのか?」とモヤモヤも溜まっていきました。

──モヤモヤが溜まっていく中で、変化を加えようとしたことはありますか?

そんな毎日を過ごす中、福岡市の屋台公募が開催されることを知りました。

福岡市の屋台公募について
https://www.city.fukuoka.lg.jp/keizai/kankou/shisei/H30_yataikoubo.html

公募に参加したのは「自分の考え方を思い切ってぶつけてみたかった」から。自分の考え方を漏れなく伝えるため、やれることは何でもやりました。

博多移動飲食業組合に関わり始めて以降、条例にシビアな目線を向けるようになりました。異業種の参入がしやすくなるよう、日々働きかけも行なっています。

福岡でしか味わえない食材でおもてなし

引用:公式サイト

──お店の特徴やこだわりを教えてください。

鶴留さん:「福岡でしか味わえない物の提供」にこだわっています。

福岡で営業するお店と縁があるのもこだわりの理由です。田中さんは糸島で活躍する人ともご縁があり、食材だけではなく様々な面で提携しています。

田中さん:可能な限り、福岡市や糸島市、福岡県や近郊の地場食材を使っています。鶴留さんも話していましたが、せっかく福岡に来たんだから福岡の食材でお腹いっぱいになって欲しいんです。

福岡に来ても「ファミリーレストランやコンビニエンスストアで食事を済ませる」と聞くこともあります。どこに行っても快適で同じ味で不満はないと思いますが、それを聞くと少し寂しい気持ちになります。

当店での食事も旅の思い出にして欲しい気持ちもあるので、提携している宿泊施設にも当店をオススメしていただくようにしているんです。

提携宿泊施設:WeBase HAKATA様
http://we-base.jp/hakata/?lang=ja

18時でも深夜12時でも売り切れがないように努めています。閉店間際に来店してもガッカリしないで欲しいですし。いつ来ても食べられる安定した提供体制にもこだわっていますね。

地産地消の効果が出てきた

──お客様の反応はいかがですか?

田中さん:「福岡でしか見かけないものが多い」と声を頂戴しています。

地産地消に取り組んでいる成果が少しずつ見えてきたのは嬉しいですね。その中でも、移住先として全国的に有名になってきた糸島産食材に注目されるお客様も増えてきました。

それ以外では、外国から来られるお客様から「メニュー表や決済など使いやすい」と評判です。海外から来ても安心して過ごしていただくため、ニーズがあれば可能な限り対応していく予定にしています。

オンリーワンの取組みで評価を頂戴している

引用:公式サイト・お客様同士が結婚されたこともあるそうです

──開店して良かったことはありますか?

田中さん:当店に対して一定の評価をいただいたことですね。

他の屋台と同じことやって生き残れるのは至難の業。ディスプレイやキャッシュレス決済の充実など、オリジナリティ溢れる屋台へのこだわりが評価に繋がってきたのではないでしょうか。

お帰りになる時に「また来ます」と仰っていただくことも、やってきて良かったと思いますね。

休業期間中でお店に対して大きな変化があった

引用:公式サイト

──新型コロナウィルスの影響はありましたか?

鶴留さん:緊急事態宣言が出てから、一か月半程度休業しました。

売上などお店にとって大きな打撃でしたが、休業期間中にお店に対する考え方が変化したんです。今まで以上に「お客様ファースト」で接客する意識が強くなりましたね。

こんな状況でもご来店いただくお客様に、今まで以上に感謝の気持ちが持てるようになったんです。

──休業期間でベクトルが変わったんですね

田中さん:コロナ禍で苦しい時期ですが、それは他の屋台も同じです。

今までは観光客が多かったのでそこまで意識していませんでした。観光客に対応する営業方法から、こういった状況でも当店を支えていただくために、「もっと地元に愛される存在にならなければ」と意識するようになりました。

福岡市民割引きも含めて、地元の方にとって魅力的なお店作りも日々研究しています。

オンリーワンになりたい

──好きな言葉はありますか?

田中さん:天下無双ですね。

天下無双には「天下に並ぶものがいないほど優れている」の意味があります。数多い福岡屋台の中で、オンリーワンになりたいです。「屋台=中洲十番」と認知される日まで頑張っていく意味も込めて、天下無双を選びました。

異業種参入など共存していく環境を目指したい

──お店を運営していくなかでやってみたいことはありますか?

田中さん:屋台対応の限界にどこまで迫れるかやってみたいですね。

「屋台でこんなサービス提供するの?」と感動される屋台に育っていければ。それ以外では、福岡市の屋台条例を変えたいですね。

現在の条例では新規参入しにくい基準があります。公募も回数を重ねていけば異業種がどんどん参入してくると思います。これからの屋台は共存していかないと難しいと思います。決まった屋台だけが利益を挙げるだけでは屋台全体が盛り上がりません。

私は異業種参入をプラスに捉えています。今までの枠に捉われない新しい屋台も登場するでしょうし。福岡市の屋台全体が面白くなると密かに予想しています。

テイクアウトや時間帯別販売など新しい取組みもスタートしたい

─将来的な目標など教えていただけますか?

田中さん:屋台から徒歩圏内の博多区住吉に別店舗を準備中です。

屋台と同じコンセプト+ほぼ同じスペースで、スタッフが動きやすいように設計しています。屋台では肉をカットできないので、店舗でカットして鮮度の良い状態での提供も可能です。

ちなみに、当店では特定技能ビザで外国人留学生アルバイトを社員に登用しました。屋台で働きたい外国人の道を多少なりとも開けたと思います。

その他は、テイクアウトや宅配サービス、時間帯別で決まった国の料理などを売ってみたいですね。自分の国の料理が売れた効果を知りたい外国人の挑戦を全力で応援します。

変わりゆく屋台を肌で感じて欲しい

引用:公式サイト


──記事を読んでいただいている方へメッセージをお願いいたします。

田中さん:近くに来られた際は是非お立ち寄りください。時代のニーズに応じて変わりつつある屋台に、足を運んでいただければと思っています。

鶴留さん:私はこのお店が大好きで、1人でも多くの方に楽しんで欲しいと日々努めています。「私達にしか提供できないサービス」でスタッフ一同お待ちしております!!

──今日は本当にありがとうございました!!

「記事を読んだ」と申告すれば会計時10%オフ

「聴くけん!!九州の記事を読んだ」と申告いただければ、会計時10%オフになります※期限なし。

【 取材後記 】博多屋台のパイオニアになる可能性が高い

屋台に入って「あれっ、ここでもメニュー同じやん」と感じた経験はありませんか?

田中さんは屋台の既成事実やイメージを変えようと、様々な取組みを重ねておられます。閉店後にスタッフと交わす言葉から、新しいサービスやメニューが登場することも珍しくないそう。

時代のニーズを察知したスピーディー対応が、新しい屋台の先頭として走り続けていくと期待です。今回の取材で、屋台に対する常識が180度変わったのは言うまでもありません。

この場を借りて、取材にご協力いただいた田中さん・鶴留さんに厚く御礼申し上げます。

取材先様募集

「聴くけん!!九州」では、取材して欲しい企業様はもちろん、「うちのお店を宣伝して欲しい」「このサービスをもっと広めたい」など、お店や個人問わず幅広く募集しています。

取材条件は以下の通りです。

・九州沖縄在住またはご出身の方(性別年齢不問)
・取材費無料/諸経費ご負担
・取材前に「書いて欲しい事」「伝えて欲しい事」など簡単なアンケート送付
・取材日より一週間以内にアップ

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この記事はマインドマイスターで構成しました。

この記事を書いた人
花野洋介

Web制作会社⇒2016年からWebライターとして福岡を中心に活動。取材/コピーライティング/セールスライティング/コンサルティング/編集/Webデザイン/ストアカ講座開講中※個別講座も絶賛受付中/好きな言葉「後回しは悪」/お仕事依頼はTwitterDMにてお願いいたします。サガン鳥栖とチキン南蛮が好き。

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