【昭和歌謡の社交場】歌謡曲BARスポットライトの代表、安東暢昭さんに直撃取材してきた

福岡

不安な未来だからこそ、慣れ親しんだ過去へ目が向く

九州沖縄で頑張るお店や人を応援している「聴くけん!!九州」。

第11回目は、昭和歌謡曲で多くの人を惹きつけてやまない、歌謡曲BARスポットライト代表の「安東暢昭(あんどうのぶあき)さん」に取材してきました。

スポットライトを始めた理由や昭和歌謡曲へのこだわり、今後の方向性などじっくりお話を伺ってきました。スポットライトには、安東さんの熱くて深い想いがあったのです。

高校の同窓会がキッカケで取材につながった

筆者の高校の大先輩である安東さんは、とても話しやすい気さくな方で、今回の取材も快くOK頂きました。高校の同窓会をきっかけに知り合い、筆者もスポットライトにはまり、アルバイトまでさせて頂いたことも。

「こちらこそよろしくね~。久しぶりやね、元気しとったと?」

初めての取材で緊張していた筆者を、優しく迎えてくださいました。

スポットライトとは?

「懐かしのヒットソングを聴きながらお酒を楽しめる」ミュージックバー。

スポットライトで流れる曲は、1970~1980年代にヒットした昭和歌謡曲です。世代でいうと50代がリアル世代で、山口百恵、松田聖子、中森明菜が一世を風靡した時代。

当時の曲を聴いて、あっという間に青春時代へプレイバックできます!

全てはレコードで流すという本格スタイル。

実は、レコードとCDでは音質が全然違うのだとか。レコードはやわらかい連続性のある音、CDはパキパキした角ばった音。あたたかみの感じられるレコードで、リアルな当時の雰囲気を忠実に再現しています。

レコードの陳列棚は誰でも自由に手に取れるので、懐かしさも体感できるでしょう。

リクエストシステム

さらには、無料で何度でも聴きたい曲をリクエストできるんです。

リクエストブックから選んだり、レコード陳列棚から選んだり、選曲中もわくわくしますよ。リクエスト方法は、テーブルにあるリクエスト用紙に書くだけ。

混雑時はリクエスト曲がかかるまで時間がかかることもあります。リクエスト曲が流れた瞬間には、ぱぁっと胸が高鳴るのがたまりません。幸せな瞬間です。

《スポットライトの基本情報》
電話番号:092-713-8686
住所:福岡市中央区天神2-3-5 ジャンティグ3F
営業時間:19:00~25:00
営業日:月~土
アクセス:西鉄天神福岡駅南出口より徒歩3分/地下鉄天神駅より徒歩7分
国体道路沿い、旧福新楼隣のビルの3階
公式HP:http://spot-light.jp/tenjin/index.php

スポットライト創始者の安東暢昭さん

(筆者撮影)

安東さんは1968年生まれ。

福岡県立筑紫丘高等学校、九州大学工学部生産機械工学科卒業後、リクルートに勤務されました。 2007年よりスポットライト代表を務められています。

《スポットライトのあゆみ》
歌謡曲BARスポットライト天神(福岡) 2007年6月~
歌謡曲BARスポットライト新橋(東京) 2011年9月~
90’s J-POP BAR SPOTLIGHT J(福岡)  2013年8月~(2020年10月3日閉店予定)
歌謡曲BARスポットライト新宿(東京) 2017年5月~(2020年10月10日閉店予定)

親友の早すぎる自死がスポットライト開店のきっかけ

──スポットライトを開店するきっかけとなった出来事は何ですか?

いろいろあるけど、一番大きなきっかけは33歳という若さでの親友の自死。小中高、そして部活動まで一緒だったんです。

──青春時代の大半を共にした方の死…とても衝撃的な出来事でしたね。

昔から明るく賢く、背も高くて人気者でした。「そんな彼がまさか・・・」と衝撃を受けました。

最後に会ったのは、死のたった2週間前の同窓会でした。同窓会では、学生時代の思い出をことさら楽しそうに話してたのに。”うつ”という病が彼を連れ去ったんです。

最後の心のよりどころだった歌謡曲

──この出来事をきっかけに歌謡曲BARへ?

彼の奥さんから、「歌謡曲を最後の心のよりどころにしていた」と聞いたんです。しかも、私が中学の時にダビングしてあげた物だったんですよ。佐野元春とか浜省とかですね。

──苦しい時期でも歌謡曲に救われていたんですね

当時の曲を聴きながら、それは楽しそうに昔話をしていたそうです。それを聞いて「サラリーマンなんてしている場合じゃない」「彼みたいな状況の人を生み出さないために何かしなきゃいけないんじゃないか」と思い始めたんですよね。

歌謡曲で人を癒す

──それが昭和歌謡曲BARですね。

親友のように、死まで追い込まれる人をこれ以上増やしたらいかん。人を癒せる場所を作って、人が社会で孤独にならないようにしたい。

そんな想いからにスポットライトを作ったんです。友人の弔いのためにスポットライトをやっていると言えますね。

スポットライトの使命

(筆者撮影)

サードワールドとしてのスポットライト

──スポットライトの使命は何でしょうか?

ひと言で言えば、私たち世代の心の核シェルターです。

──核シェルターというと?

家庭でも職場でもない非日常の空間、サードワールドですかね。

どこで働いていようが、肩書が何であろうが、ここに来ればみんないるよという安心感がある空間ですね

──大人になるとそういう場所は貴重ですもんね

大人はなかなか利害関係のない友人というのは出来にくいですよね。そんな中でスポットライトの役割は大きいと思っています。

歌謡曲はあくまで人と人をつなげる道具

──歌謡曲へのこだわりは?

よく趣味の延長のお店だと思われるんですけど、決してそんなことはなくて。あくまで歌謡曲は人と人をつなげる道具のひとつなんです。

──イベントも色々行なっていますね。

洋楽ナイトやイントロクイズ大会、DJ、ライブイベントとか。これらも人と人をつなげる手段としてやってるんです。つまみ(道具)が違うだけですね。

昭和歌謡曲ならではの楽しみ方がある

──昭和歌謡曲の特徴は何でしょうか?

昭和のヒットソング歌謡曲は、あの世代なら誰もが知っているというのが大きな特徴です。みんなと曲を共有できるからこそ、見知らぬ人同士でも共通の話題で盛り上がれますし。

曲についてあーだこーだ言ったりできる。それが昭和の楽しみ方です。流行っている物が絶対的な善でしたからね。

──平成以降の楽しみ方とはどう違うのでしょうか?

平成になってからはカラオケが台頭してきました。身内だけでカラオケボックスに行ったりすることが増え、見知らぬ人同士でのコミュニケーションは減ったんじゃないかと思います。

音楽も多様化してきて、ミスチル好きやB’z好きなどそれぞれで楽しむ感じですね。

──スポットライトでは、曲を歌うのではなく流すスタイルですね

曲を歌うと話せないですもんね。それに、例えば上司とか取引先の方が歌うとなるど手拍子したり、合いの手を入れたりと、無言のプレッシャーがかかっちゃうでしょ(笑)。

それでは、肝心のコミュニケーションが取れないと思って、このスタイルにしたんです。

スポットライトのお客さま

(筆者撮影)

──お客さんの年代はどのくらいですか?

1970~80年代に青春時代を過ごしたアラフィフや50代がメイン層です。最近では、20~30代の若い世代も増えてきました。

──若い世代の方も!

親の影響を受けたという人が多いですね。スポットライトで流す昭和歌謡曲は、若い頃にこそ聴くべきだと思うから、嬉しい限りです。

──お客さん同士で仲良くなった方もいるんですか?

もちろんいますよ!個人的にも飲みに行く友人になった人たちもいますし。スポットライトで出会って結婚したカップルもいるんですよ。

ーーわぁ、素敵!しっかり人と人をつなげる場になってますね。

初めはグループで来てた人が一人でも来るようになると、「スポットライトを好きになってくれたんだなー」と思って嬉しくなります。

ーー常連さんってやつですね。

最初は自分の好きな曲をリクエストして楽しんでいたお客さんが、だんだん他の人のリクエスト曲を楽しむようになる。こうなると本当に心強い応援団となってくれます。

コロナ禍における昭和歌謡曲の役割

(筆者撮影)

──コロナの影響は?

影響は大きいです。スポットライトでは、歌謡曲を通して人と話したり踊ったりするのが醍醐味。

知り合いだけじゃなくて、たまたまその場にいた知らない人ともコミュニケーションを取れるのが、スポットライト的な社交と言えます。

コロナ禍では、そんな楽しみ方を全否定されるような流れがありますね。

──2店舗は10月に閉店となりますね。

新宿店・大名のSPOTLIGHT Jを10月に閉めることにしました。できるだけ出血を押さえて、スポットライトの存続を目指していきます。

──コロナ禍でも昭和歌謡曲の役割はある?

コロナ禍だからこそ、役割は大きいと思いますね。どうなるかわからない不確かな将来だからこそ、昔から慣れ親しんできた昭和歌謡曲に安心を見いだせるんじゃないかなと。

──今こそ、昭和歌謡曲で癒されるときですね

これからもっと昭和歌謡曲が見直されて、光があたると信じています。

取材中、安東さんに昭和歌謡曲をテーマとした別の取材依頼がありました。やはり関心が高まっているのかもしれません。

スポットライトの今後

──オンラインの活用は何か考えていますか?

オンラインでイントロクイズ大会は可能かもしれません。そうなると従来の早押しは無理だから、一斉に答える形式にしたり、微調整は必要ですね。

ズーム飲み会とか流行ってるけれど、理想は空間や臨場感です。それはオンラインでは再現できないところですね。

──クラウドファンディングもされていますね。

ありがたいことに500人以上の方に協力して頂きました。来たくても来られない人がこれだけいることが嬉しかったですね。こんなにスポットライトを応援してくれる人がいることに勇気をもらいました。

当店で10代20代に戻って欲しい

──最後に、読者へのメッセージをお願いします

しかるべき対策は万全にして営業しています。過度に恐れず、将来に対して不安になったら、来たくなったらいつでも来て欲しいと思います。

スポットライトで10代20代に戻って心を癒してください。これからも歌謡曲の灯を守っていきます!

──今日は本当にありがとうございました!!

【取材後記】いつの時代も音楽は最高の癒し

今回、個人的にも大好きなスポットライトを取材して感無量でした!

密を避ける風潮のコロナ禍は歌謡曲BARにとって逆境に見えますが、不安定な世の中だからこそ人々の心には昭和歌謡曲への愛着や親しみがますます募っていることでしょう。

「誰かと話したいな」
「今日はちょっと疲れたな」

そんなときにひょいっと寄れる場所。こんなときだからこそ、ささやかな人との関わりや懐かしい音楽に癒されてください。

これからのスポットライトのご活躍に期待します。

この場を借りて、取材にご協力頂いた安東さんに厚く御礼申し上げます。

取材先様募集

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取材条件は以下の通りです。

・九州沖縄在住またはご出身の方(性別年齢不問)
・取材費無料/諸経費ご負担
・取材前に「書いて欲しい事」「伝えて欲しい事」など簡単なアンケート送付
・取材日より一週間以内にアップ

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この記事はマインドマイスターで構成しました。

この記事を書いた人
平田ひなこ

熊本出身、福岡育ちのwebライター。鹿児島と長崎にも在住歴あり。現在は京都市在住ながらも、九州を心のふるさとにして活動。 旅行や着物、コーヒーなど「好きなことを文字にする」ライター。

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