【 Webに劇場を作りたい 】新事業「THEATER WAFFLE.」を始めた福岡県北九州市の「後藤玲さん」にその想いを伺った

演劇

好きなことをやりましょうよ

九州で頑張る人を応援する「聴くけん!!九州」。

第7回目は、コロナ禍の影響を受け新たに「動画プラットフォーム」を立ち上げた、福岡県北九州市でイベント会社を経営されている「後藤玲さん」にお話を伺いました。

後藤さんには新サービスの見所や、コロナの影響を受けたアーティストやスタッフをはじめとするエンタメ界隈の人々に対する思い、今後の展望について語って頂きました。

舞台事業がご縁となって

今回取材した後藤さんは、福岡県北九州市でイベント運営や音響、照明などを請け負う「株式会社wafel」の代表取締役をされています。筆者(江尻)もライター業の傍ら、たびたび舞台やイベント関係の現場でスタッフ業をしており、そのご縁で後藤さんとも兼ねてより面識がありました。

先日、新たに動画配信サービスを始められたと聞き及び、「ぜひ取材させていただけませんか?」と打診したところ、快く引き受けて頂き、北九州市にある事務所にお伺いすることとなりました。

今回始められた動画プラットフォーム『THEATER WAFFLE.(以下シアターワッフル)』は、「家でライブや演劇が楽しめる!!」をコンセプトに、アーティストが自らのコンテンツに値段をつけて、販売できるようになっているのが特徴です。

HP:https://theater-waffle.com/pub/about
Twitter:https://twitter.com/TheaterWaffle
Facebook:https://facebook.com/Theaterwaffle

コンセプトはWeb上にある貸し館

花野洋介
花野洋介

シアターワッフルについて教えてください

後藤さん
後藤さん

Web上にある貸しホールみたいな物ですね。

ライブハウスや市民会館とか、会議室で出来るものは何を投稿して貰っても大丈夫です。今、カテゴリーとしては演劇音楽ライブが多い感じになっているんですけど、載ってないだけです。セミナーとか基本的に何でも載せてもらって問題ありません。

花野洋介
花野洋介

例えば、もっとビジネスライクなコンテンツもありと?

後藤さん
後藤さん

それはありですね。

企業の研修会とか講習会なんかも売って貰っても大丈夫ですし、今後投稿の予定もあります。動画カテゴリに関しては随時追加されていきます。

アーティストがチケットを売れる仕組みを作りたかった

花野洋介
花野洋介

このサービス(THEATER WAFFEL)始められた理由は何ですか?

後藤さん
後藤さん

うちはイベント業なんですけど、コロナで仕事がなくなったのがきっかけです。

「何かしなきゃいけないな」「何かできるな」ってのがあって。今まで仕事で忙しくて何もする暇がないなって時に、何かしておかないという話に社員ともなりました。

後藤さん
後藤さん

それに、この状態はコロナウイルス以外にも何年後にまた来るかもしれないなと思ったのもあります。知り合いのバンドさんとかライブハウスさんとかも打撃を受けていて、バンドさんにしても、ライブがなくなったと聞いていました。

コロナが流行って、知り合いのバンドも全く仕事がない状況になって。結局は補助金とか出たけど、基本的には稼ぎがないからみんなで稼げる状態を作りたいって話になったんですよね。

後藤さん
後藤さん

それで、話をしていた時点(2020年3月頃)で世の中にあった動画配信サービスは、無観客でライブをした映像を乗せても基本的にはお金に変えられない。YouTubeにしても登録者数と再生回数が必要で。

でも、そこ(マネタイズできる再生数)に達してなくても、今いる人たちがライブをして、チケット代が入る仕組みを作れないかと(自社のスタッフとも)話してたんですよ。

後藤さん
後藤さん

アーティストにチケット代が入れば、ホールやライブハウスを借りられますし。私達のような舞台事業者の仕事になる。ファンの人には応援したい、その人にお金を払いたいって人もいますし。その人たちはグッズを買うしか換金する手段がなかったんですよ。

だったらライブをして換金できる場所を作ろうと。

花野洋介
花野洋介

最初にこのサイトを拝見した時にアーティストの人を応援するサイトだと思ったのです。会場やスタッフも含め、応援していくために始められたんだなと。

後藤さん
後藤さん

アーティストだけじゃなく、我々も含めた事業者、会場スタッフの人達の三者です。支援プラス我々も存続のために何かしなきゃいけないと思いました。

こういうサイトを作ってるって発信した時に、お金を出せる場所を探していたお客さんも多かったんですよね。

花野洋介
花野洋介

ライブや舞台などで会場に足を運んでくださるお客様は熱心な方が多いですよね。

後藤さん
後藤さん

そうなんですよ。SNSとかでいろんな人の情報を見ても、みんなそういう気持ちは持ってるんだけど払える場所がなかったとわかって。演劇とかライブとかを楽しんでいる人って、演劇自体、ライブ自体を好きな人が多いので、チケット購入までのハードルは低いんですよ。

後藤さん
後藤さん

でも、その他の不特定多数の人にコンテンツを見せて、チケットを買って頂くとなった場合は、これはハードルは上がってるなと感じていますので、その点が今後の課題ですね。

自由に動画を販売できるプラットフォーム

引用「THEATER WAFFLE.

花野洋介
花野洋介

シアターワッフルの特徴やこだわりとは何でしょうか?

後藤さん
後藤さん

価格をアーティスト側で決めて貰えることですね。「無料でいいよ」って作品は無料で載せて、サンプルにして貰ったりもできます。

花野洋介
花野洋介

サンプルというと冒頭の何分何秒とかですか?

後藤さん
後藤さん

そうですね。動画を上げてもらった際に弊社でサンプルを作るんですよ。大体みなさん30分300円とかで設定しています。

引用「THEATER WAFFLE.

引用「THEATER WAFFLE.

後藤さん
後藤さん

妃那さんは5曲載せてるんですけど、1曲だけ無料で公開したいというのがあれば、こちらで対応します。遠慮なく仰っていただければOKです。

花野洋介
花野洋介

動画自体の編集作業に関しては全て運営のワッフルさんでされてるんですか?

後藤さん
後藤さん

基本的にはプラットフォームなので、完成した物を上げていただきます。

動画のアップの方法に関しては、ご連絡をいただいたら専用のURLを発行します。動画とサムネイル、説明文などを記入と確認してからアップします。

花野洋介
花野洋介

動画が第三者から無断でアップされていた場合や、動画内で著作権物のある楽曲などをを使用していた場合は?

後藤さん
後藤さん

アーティストさんからの著作権侵害という連絡が起きたらすぐにストップします。ただ、やり取り自体も本人確認できないので、最終的にはZoomなどで顔確認をする予定です(笑)

後藤さん
後藤さん

動画で使用する著作権物等に関してですが、JASRACさんとお話をしてて、弊社でお金を払ってます。「コピーだから」「お芝居内で著作権のある物を使ってるんだけど」となった場合でも弊社で処理します。

発表の場があるだけで喜ばれた

引用「THEATER WAFFLE.

花野洋介
花野洋介

利用したアーティストの方からの感想はどのようなものがありますか?

後藤さん
後藤さん

プラットフォームの立ち上げの際に初動コンテンツを仕込むため、「シアターワッフルプレゼンツ」として弊社がライブハウスを借りて、アーティストさん達のご協力の上で何点か動画を作っています。

後藤さん
後藤さん

緊急事態宣言明け(2020年5月中旬以降)に撮ってるんですけど、ずっとライブができていないから、アーティストさんはやるだけで喜んでくれました。

そして、終わったあとに、頑張って売ろうねって(笑)

花野洋介
花野洋介

ワッフルさんは舞台事業をされているから、セットから動画の撮影までお願いできる訳ですね。

後藤さん
後藤さん

シアターワッフルプレゼンツに関しては、セット、照明、音響まで我々が担当しています。

今後コンテンツ作成のサポートを依頼したいな方がいらっしゃれば、弊社で収録から編集まで、通常よりお安くお受けできます。

動画は「作品」を人に届ける手段

花野洋介
花野洋介

ご自身の考えや周りの反応など、サービスをやってみて変わったことはありますか?

後藤さん
後藤さん

考え方は変わりましたね。

最初は、やっぱり生じゃないとって気持ちはあったんですよ。でも、やっていく内に、「これはこれでアーティストの作品を人に届ける物だよね」「ネットを使った発信ができるようになっとかないとダメだよね」という考えにもなりました。

後藤さん
後藤さん

そのためには、動画制作でも弊社が「音響や照明は基本的には全部やる」気持ちにもなってます(笑)

ダブルワークでも新しい物を求めて

花野洋介
花野洋介

今回のサービスを始めてみて苦しかったことはありますか?

後藤さん
後藤さん

基本的には、今のところは肉体的な物ですね。

シアターワッフルプレゼンツは若いスタッフがメインで編集とかやってくれてるんですけど、僕もやってるんですよ。でも、編集を始めると、深夜とかまでかかること多くて。

花野洋介
花野洋介

舞台事業の方もある中で、ご自身で投稿動画の編集作業もされているんですか?

後藤さん
後藤さん

本業の方でも営業をしている中で、シアターワッフルのこともやってると編集作業とかは深夜になっちゃいますね。打ち合わせ前や移動中にやったりとか。

夜中2.3時まで編集、5時に起きて6時にはここ(事務所)に来て、打ち合わせに行くみたいな生活をしてます。

みんなに「好きなこと」をして欲しい

花野洋介
花野洋介

後藤さん自身の好きな言葉などはありますか?

後藤さん
後藤さん

「好きなことをやりましょうよ」ですね。

自分の責任において、人に迷惑をかけないっていうのかな。でも、それでも好きなこと、楽しいことを自由にやりましょうよと。

花野洋介
花野洋介

その考えは会社のカラーにも反映されていそうですね。

後藤さん
後藤さん

なっていますね。自分だけではなく周りにいるアーティストさんや会場側の人達、スタッフの人には楽しくいて欲しいですね。

今後はオンライン上での大規模イベントも

花野洋介
花野洋介

このサービスを通じて今後期待することはありますか?

後藤さん
後藤さん

現時点で、シアターワッフルではライブ配信できないんです。最初はコメントも確認できないし必要ないって思っていました。

後藤さん
後藤さん

しかし、家に帰ってゆっくり見たい・出勤や移動中に一時停止したい時に生配信だと後から追っかけることになると思ったんです。動画を見る人にとってあまり意味がないんじゃないかと当初は考えてたんですよね。

花野洋介
花野洋介

今はそうではないと。

後藤さん
後藤さん

セミナーとか有料の講習会とか、特別なイベントとか、プレミアムにしたい物、本当に限定で見て欲しい物は生でいいのでは?という考えに変わってきています。今は生配信ができるように今調整しています。

後藤さん
後藤さん

シアターワッフルの今後については、この中でイベントができないのかと考えています。野外フェスみたいなVR上で会場を作って色々したい希望もあります。

VR上に作った会場で、オンラインの学祭や野外イベントの代わりとして使えるような物を企画しています。こちらも随時リリースしていく予定です。

アーティストの作品は「かっこいい」

花野洋介
花野洋介

読者の方へメッセージをお願いします。

後藤さん
後藤さん

あくまで、シアターワッフルはコンテンツを売るためのサービスです。

「載せたいものがある」と思うアーティストさんがいらっしゃれば、支援したいお客さんも多いので、是非アップしてください。

お客さんに対しては、良い作品・すごくかっこいい作品が多いので、ぜひ購入して欲しいなと思います。

花野洋介
花野洋介

本日はありがとうございました!

【 取材後記 】シアターワッフルが新たな表現の場になることを祈って

取材中、アーティストをはじめとするエンタメ事業に関わる人たちの苦しい状況を語る際、その目には熱いものがあった後藤さん。

帰路の中で「好きなことをやりましょうよ」と語る後藤さんの言葉の力強さが、耳に残っていたのを今でも覚えています。

シアターワッフルのコンテンツの端々にも、そのような思いが反映されているように思いました。少しでも自分のやりたいことに熱中できる人が増えている。そんな世の中になっていることを願うばかりです。

この場を借りて、取材にご協力いただいた後藤さんに御礼申し上げます。

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この記事はマインドマイスターで構成しました。

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